この度、コートヤードHIROOでアーティスト小野海による展覧会『 Prism-Reimport 』を開催します。
現代社会に自然は多くありません。自分たちで自然を排除する動きの一方で、人は自然を求めます。コロナ禍で増える室内の自然の需要、けれど室内に置かれる”自然”は本来”不自然”な存在であるはずです。小野海の彫刻はその不自然さに今一度意識を向け、彫刻という媒体を通してその”ひずみ”とも言えるような何かを再発見させるような作品をつくっています。
自然のエネルギーを具現化し、かたちは変われど決してなくなることのない、人と自然との関係の循環を可視化する。小野海の“紡ぐ”世界は「室内の植物を自然界からのアッサンブラージュ作品として捉えたものを、本質的に再構築したランドアート」といえるでしょう。
本展示ぜひご高覧いただけましたら幸いでございます。

― コートヤードHIROO




小野 海 『 Prism-Reimport 』
会 場 : コートヤードHIROO 東京都港区⻄麻布 4-21-2
会 期 : 2022年8月5日(金) 〜  2022年8月26日(金)  12 : 00 〜 19 : 00
時 間 : 12 : 00 〜 19 : 00
休廊日 : 月曜休廊・祝日開廊


\ARTIST TALK/
2022年8月9日(火) 18:00-19:00

現在GALLERY TAGBOATで開催されている「CORE part8(http://tagboat.co.jp/core-part8/)」展にも参加している注目アーティスト、小野海さん。
展示開始直後に2作品が即完売となった新進気鋭のアーティストとのトークの場をご用意いたしました。
参加型のトークで小野海さんに直接お話をきける機会ですので、ぜひご参加ください!
限定20名 ご予約はこちら


問い合わせ:garou@cy-hiroo.jp

私はこの世界の循環を実感できる瞬間に魅力を感じる。
例えば大きな積乱雲を見たときや雨や虹をみたとき、山の頂上から日の出を見たときなど。大抵それらは自然界に存在している。

私たちが暮らす人界も本来は自然の一部だったはずだ。人が暮らす環境を形作っていく時間の中で、自然は急速に排除されてきた。しかし、取り除かれたものは無くなるわけではない。

本展(Prism-Reimport)では室内に存在している自然をモチーフに彫刻を制作した。
鉢は切り取られた大地であり、それにより土や植物が室内に存在している。
屋外と屋内を区切った上で、室内に逆輸入された自然。それらはある種の違和感として自然界と人界の境界を曖昧なものにする、つまり内と外を繋ぐ役割を果たしているのではないだろうか。

生活空間の中に、一度は自ら取り除いた「自然」を再び取り入れる。それはきっとそれが生きることに必要であるからだ。

これは一見、人が意図的に行なっていることのようだが、私はこれも自然が循環するエネルギーの一環なのではないかと感じる。







小野 海
1995年 兵庫県生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部彫刻専攻 卒業
2021年 東京藝術大学大学院彫刻専攻 修了

受賞歴
2014年 第39回こうべ市民展 神戸市民文化振興財団賞 受賞
2019年 AAC立体アートコンペ 入選
2020年 アーツin丸の内 三菱地所賞 受賞


高校在学時から石膏、テラコッタ、FRP、紙など作品ごとのテーマに合わせた様々な素材を使って彫刻を制作。東京藝術大学入学後は“意図して生み出されたモノの中にある美しさと違和感の混在”をテーマに、主に人の暮らしに関わる動物をモチーフとした塑像による具象彫刻を制作。その後、素材の幅をさらに広げアクリル毛糸を使った作品〈Prism Series〉を展開。学部卒業時に制作した視覚効果を用い、錯覚を引き起こすことで立体が平面に見える作品〈Prism-Rainbow Mountain〉。日常生活の中で自然と人が交わる瞬間に着目し制作した巨大な彫刻で大学院修了制作である〈Prism-Aureola〉などを制作してきた。現代社会におけるSNS・メディア社会における彫刻の新たな可能性を自然科学の観点や錯視効果などを用いながら研究している。

Instagram: @ kai__ono