Concept

Open, Social, 
Borderless
経済的な発展や人口増加のピークを越えたこれからの日本に必要なのは、新しい豊かさのモノサシです。私たちが目指したのは、欧米のコートヤード(中庭)文化を日本流にカスタマイズすること。その考えに最も適していたのは、古き良き建築物を周りの自然環境を含めて引き継ぎ、現代に合わせて再生するという方法でした。緑豊かなセミパブリックの空間で、くつろぐ人、仕事をする人、カラダを動かす人、暮らす人々がボーダレスに出会い、交流する。そんな新しい暮らしのあり方を、ここから発信していきます。

築45年の躯体を今に受け継ぐ
リノベーション

建築設計 篠河恰兵debual LLC.
この建物は昭和43年に旧厚生省公務員宿舎として建てられ、当時の生活の佇まいを残したまま現存していました。今回の設計の主眼は、密接した住宅地である広尾にVoid(空所)を出現させ、生活する人、働く人、活動する人が心地よく交わるCourtyard(都会の中庭)を創り上げること。耐震性能の高い躯体のみを残し、内装、建具、設備、全ての改修を実施、築45年ながら現代でも遜色のない集合住宅として蘇らせました。新しい外装は木製ルーバー、大型の開口、デッキ階段に囲まれ、居住者がくつろぎ、来客者をもてなし、人々が交流できる場を造成しています。小部屋に分割されていた内装は多くの間仕切りが撤去され、その土地本来の採光、眺望、風通しを享受できる室内となっています。

人間の健康を取り戻すための特別な中庭

ランドスケープ設計 福岡孝則Fd Landscape
中庭の設計のコンセプトは「場所の記憶」、「時間の伸縮」、「オープンでプライベートな場所」、「アクティビティ」、「ホリスティック・ヘルス」です。目指したのは、ここに入った瞬間に時間の流れが変わり、早朝から夕方まで毎日細かい変化と発見がたくさんある場所。コールテン鋼の壁や生垣などで空間を分節することで、オープンでありながらも周辺街区や建物から切り離されたプライベートな場所を創出しています。設計上で最も重視したのは「ホリスティック・ヘルス」です。人間の精神と身体を自然の中で、そして人とかかわる中で磨くための環境の器を創成しました。こうした環境を活用して、人間の健康を取り戻すための特別な場所になればと思います。