コートヤードHIROOガロウにて、河合ひかる 個展「親愛なる声へ-亲爱的声音」を開催致します。
昨年開催されたA-TOM ART AWARD 2022 コートヤードHIROO賞 受賞者である河合ひかるの個展になります。
河合は日本と中国にルーツを持ち、アイデンティティというキーワードのもと、映像作品の制作を行っております。アイデンティティとは何なのか、その境界線は何をもって引かれているのか。その記号とも言える「壁」は我々にどんな影響を与えているのか。アート文脈におけるアイデンティティは差別やマイノリティへの問題定義のために使われてきました。河合は、そもそもの「アイデンティティ」という極めて曖昧な「記号」への挑戦と祈りとも言える作品を展示します。この機会にぜひご高覧ください。

― コートヤードHIROO



河合ひかる 個展「親愛なる声へ-亲爱的声音」(my dearest voice)

会 場 : コートヤードHIROO ガロウ 〒106-0031東京都港区⻄麻布 4-21-2
会 期 : 2023 年 11 月 12 日 ( 日 ) ~ 2023 年 11 月 26 日 ( 日 )
時 間 : 12 : 00 〜 19 : 00
休廊日 : 月曜日 *祝日オープン
協賛: エプソン販売 株式会社





[亲爱的声音 親愛なる声へ] 

 あなたの中にも私の中にも声が宿っている。
 声とは、言葉ではない。
 声とは、音の親類である。
 声とは、鼓動と温度を伴う。
 声とは、言語形態を持っていても、いなくても良い。
 声は、森羅万象から発せられている。

 それが日本語か、英語か、中国語か、あるいはエスペラント語か、どの言語であるか、どんなアクセントがある声なのか。
 あなた自身の声か、友人、親類、知り合い、恋人、他人、動物どの持ち主から発せられているのか。
 私たちは一生懸命に声を解釈しようと躍起になっている。
 それらはあまりにも部分的な枠組みであり、記号的な視座からしかその声を捉えることができない。何かが必ずこぼれ落ちているか、あなたの偏見や刷り込みによって声自体が変化して聞こえてしまうことも起こりうる。私はその不完全さがたまらなく悲しい。あなたはあなたの翻訳機を通すことしかできないし、私も同じだ。私たちはお互いの「声」を真の意味では聞くことができないのだ。
 だから、私は翻訳機を放棄して、全身で声を聞きたい。
 この世に存在する人種、国籍、アイデンティティといったような記号たちは、この世に元々存在したわけでも実在するわけでもない。私たち人間が社会的に生み出したものなのだ。少しでもいい。誰かの声を聞いて、自分の声を聞いてみて欲しい。私たちは本来一つの土地で同じ言語を話し、天空にも届く塔を建てた兄弟なのだから、きっと分かり合うことが出来るはずだ。
 記号を取り払い、私たちすべての人間が同じように笑い、泣き、抱きしめ合う日を願って。

 私は、1999年東京で生まれ東京で育ち、河合ひかるという名前を持つ。
 出生時に女性に分類された。体は小さい。見た目は黄色人種だ。
 家族は中国にいて中国人で、
 私はハーフだ。

 ほら、あなたの翻訳機は仕事を始めた。
 今、あなたにはどんな声が聞こえるか?

 私は個人的な記憶や体験をもとにして、わたしの声となるものを作る。皆様ご自身の体験に重なる部分があるかもしれない。この展示にお越しいただく方々にとって、この世に存在する人々を記号化するモノの存在、あるいは自分を構成している属性に気付き、それによってあなたの耳には何が聞こえていて何が聞こえづらいのかを考えるきっかけとなることを願う。




河合ひかる

1999年 東京都出身
2022年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻 卒業
2023年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程 在籍中

日本と中国にルーツをもち、東京で育つ。家族とは国籍・母語・姓が異なっている。これらの背景から、文化的に構築された国籍・人種・言語などといった、人々をカテゴライズする「境界線」に関心を持つ。これらの優位性を揺らがせることを目指し、個人的な体験や記憶を手がかりにしながら、境界線を語りなおしている。




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