コートヤードHIROOは、2020年9月4日(金)~11月3日(火)の期間中、日本がもっとアートで溢れる豊かな未来に向けて、アートコレクター発信でアートの魅力を広める「Art Summit」を開催します。
SHIGERU AOI COLLECTION展
第1期:「NEW」2020.9.4 Fri.〜 22 Tue.
第2期:「with art」2020.10.2 Fri.〜 11.3 Tue.
各期のオープニングには参加アーティストやアートアドバイザーの参加を予定しており、交流を深めていただきます。また、期間中アートコレクター、アーティスト、アート関係者とのトークセッションを複数回にわたって実施いたします。この混迷を極めた時代にアートが果たす役割について、それぞれの立場から語っていただきます。
第2期 TALK SESSION VOL.4
茶道と日本美術界の将来について
10.14 Wed. 19:00~21:00
■スケジュール
19:00~20:15 talksession
20:15~20:30 Q&A
20:30~ 懇親会
■会場
OFFLINE/コートヤードHIROO 東京都港区西麻布4-21-2 3Fガロウ(事前予約制・20名様限定)
ONLINE/コートヤードHIROOFacebookまたはYoutube配信を予定
■トークメンバー
山田長光(Urban Cabin Institute Founder)、山田晋也(アーティスト)、フレイヤ・ディーン(アーティスト)、佐山パトリック未来(アートアドバイザー)
<ご参加について>
ご予約はPeatixよりお願いいたします
■OFFLINE
参加券:無料
Donation参加券:2,000円
■ONLINE
参加券:無料
Donation参加券:2,000円
※Donation(寄付)参加券でいただいた費用に関しては、イベント運営費及び若手アーティスト支援のために使用させていただきます。
■トーク内容
「茶道と日本美術界の将来について」
日本には他国の文化を上手に日本文化に取り入れてきた長い歴史があります。
岡倉天心は次のように書き残しています。「東洋思想の波が次々に押し寄せては我が民族の意識にその痕跡を残していったのである」と。
そのように押し寄せてきた他文化の波を吸収してきた日本ですが、それに埋没する事なく独自のアイデンティティを作り上げてきました。
日本において西洋美術が、そしてそのグローバリゼーションがどのような影響をおよぼしてきたかを考えてみると、これまで日本の美術界は西洋における製作技法に始まり作品の購買方法や芸術鑑賞の仕方に到るまで、実に多くを取り入れてきたと言えるのではないでしょうか。
けれども日本の芸術家達は西洋美術の影響を受けたあと、コンテンポラリーアートのトレンドを手にした上で伝統的な日本の思想や技術に焦点を当てるなど日本の伝統への回帰が行われました。しかし対照的に、アートビジネスは未だに西洋のマーケットと方法論に大きく影響を受けているように思えます。真っ白で四角いギャラリー、そこに展示する作品を保有するコレクターの存在とそれを収める美術品収蔵庫、そして「感動を経験すること」よりも「投資」に重きをおいている点などがその例です。
日本には茶道があります。茶道は世界的にも知名度が高く、芸術鑑賞という視点から見て最も洗練された表現の一つであると私は思います。
茶道では美しい物をともに鑑賞して、時には人生のさまざまな出来事も精神的レベルで共有されるのです。茶室内の掛け軸、花、茶器や庭などを見ていると、人生の意味や美しさを入念に表現していることが分かります。
岡倉天心が言及した「東洋思想の波」は茶道に影響を与えました。茶道の起源は老子から始まり道教の一部として広まったと言われています。その後、禅仏教として進化する中でお手前が洗練されていきました。当時、禅僧が茶道の師匠であることがほとんどでしたが、彼らがそれぞれの流派として独自の体系を発展させました。お手前と芸術性、精神性の体感、茶道はこれらが融合したものなのです。
西洋芸術には伝統的に2つの真理があるように思えます。
1)芸術はオブジェクト(物)である
2)オブジェクト(物)はそれ自体のために作られる
西洋では「低俗なアート」の工芸品でなく、高尚なアートのみが展示と投資に値するのです。こうした考え方は日本の伝統が嫌うものであるように私には思えます。茶道が良い例ではないでしようか。芸術は陶磁器茶碗とか掛け軸のような’物‘であると同時に〝体験‘’であるべきだと思います。最近まで日本は美的創造の全ての行為を指すために芸術という言葉を使用していました。しかし西洋が言うところの芸術という概念を説明するには言葉の意味が広すぎたために美術という言葉が使われるようになりました。その例が美術館です。この西洋的な空間には繋がりのストーリーがない美術品たちが展示のために集められています。更には出口にはギフトショップが必ずあり、その商業的空間を通らないと美術館を出ることは出来ません。
「美術」に対する「芸術」という広い意味においてアートとは何かと考えるとき、崇高なるもの、スピリチュアルなもの儀式的なものを再構築することが日本がアートの世界に出来る貢献の一つと言えるのでしょうか?
そして日本で古来から続くこの芸術に対する解釈は日本国内のそして世界のアーティストを育てることになるのでしょうか?このような話を茶道家である山田長光さん、アーティストの山田晋也さん、アートアドバイザーの佐山パトリック未来さんとお話致します。是非皆さまご参加ください。
フレイヤ・ディーン
■トークメンバー プロフィール
山田 長光
Urban Cabin Instituteファウンダー。緊張と解放の演出で場面転換を行い、身体を整え呼吸を整え意識を整え、ビジョナリーの視座を高める空間力Urban Cabinで新たなムーブメントを作ることを目指している。また350年侘び茶を伝える茶道宗徧流不審庵十一代家元山田宗徧でもある。
山田晋也
1974年京都生まれ。和装意匠制作の家に生まれ、代々残る文献をもとに 染色技術に着眼し、復元や創作に従事。皇室への作品献上、また、伊勢神 宮や比叡山延暦寺など多数の寺社仏閣に作品を奉納・収蔵。2015年、琳派400周年に際し、京都国際マンガミュージアムにて「琳派オマージュ展」、 2017年、京都高島屋、2018年、新宿高島屋にて、「ぼくらが日本を継いでいくー琳派・若冲・アニメ」開催。2019年、元離宮二条城でのICOM2019「時を超える:美の基準」出展。同年、比叡山延暦寺にて「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展」開催。
フレイヤ・ディーン
1987年英国ブライトン生まれ。ロンドンのセントラル・セントマーティン校美術科で修士を取得。イングランド王立外科医師会で解剖模型の制作に携わる。現在はコートヤードHIROOでFREYJA NO HEYAの講師を務めながら、アーティスト活動を行う。トランスヒューマニズムに注目し、木や3Dプリンターを用いてミクストメディアを制作している。最近の趣味は日本の古典文学。
佐山パトリック未来
アートアドバイザー/フリーランス通訳
米国Sotheby’s Institute of Art アートビジネス部修士卒業。SCOPE / ART ASIA Fair 、Rooster Gallery、仏カンヌのArt Affair Cannesにて出展ギャラリー担当を経て、2012年日本へ帰国。現在、軽井沢セゾン現代美術館の新規事業アドバイザー(現在は業務委託)、2019年9月に開催されるアートフェア「artKYOTO」のアドバイザー、コートヤードHIROOガロウにてアートアドバイザーを務めている。