COURTYARD HIROO

Untitled/「」松永幸樹&神作真由

学生クリエイター達によって運営されるクリエイター後援団体・Untitled/「」が、2025年3月にコートヤードHIROOでUntitled / Fesを開催してくれました。”異分野のクリエイターたちがひとつの会場に織りなす「ひろば。」”として、18組の出展者が写真やインスタレーション、アパレル等様々な展示を行い、週末にはトークイベントが開催され、とても賑やかな1週間を共に過ごすことができました。

▼Untitled / Fes 2025 のイベントレポート
https://untitledjapan.org/media/20250413

今回のPEOPLEでは、Untitled/「」の代表である松永幸樹さん、ディレクターの神作真由さんにお話を伺いました。

右)松永 幸樹 Untitled Founder / 2004年生まれ / 東京工芸大学 芸術学部 インタラクティブメディアアート学科
左)神作 真由 Untitled Director / 2005年生まれ / 慶應義塾大学総合政策学部

Q:3月のイベントではありがとうございました!今日は改めて、Untitled/「」の成り立ちや2人の活動について教えてください。
松永:大学に入ってから、MV(ミュージックビデオ)をつくるプロジェクトを友人たちと立ち上げたのがきっかけです。映像って、一人じゃ完結しなくて、演者や撮影、衣装、演出などいろんな人の力が必要なんですよね。そこから「この関係性自体が面白い」って気づいて、表現者同士をつなぐ“場”をつくろうと考えました。

Q:Untitled/「」という名前に込めた想いはありますか?

松永:“Untitled(無題)”って、「名前がないからこそ、なんにでもなれる」っていう意味なんです。あえて名前をつけずにスタートしたことで、固定されずにどんどん形を変えられる余白ができました。
神作:今回開催させていただいたFesという形式での展示でも、その性質をうまく体現していると思います。名前によって規定されるあらゆるカテゴリーが乱立する世の中で、自分の肩書きを既存の記号によって制限することのないような立ち位置を見つけることが、姿勢としてあらわれているような気がします。


Q:Untitled / Fesは過去3回開催されていますが、どのようなイベントですか?
松永:展示Fesという形にはなってますが、いちばん大事にしてるのは“出会い”です。作品はきっかけでしかなくて、出展者や来場者、近所の人たちが、自然に会話を始められるような空間を意識しています。
神作:今年のFesでは、近所の人が犬を連れてふらっと入ってきたり、テラスで出展者と来場者が一緒にコーヒーを飲んでたり。そういう偶然の交差がいっぱいあって、あれが理想に近いかたちでした。

Untitled / Fes 2023 winter

Q:イベントへの関わり方、展示を構成するときに大切にしていることはありますか?
神作:最初は出展者として参加していたんですが、そこから展示構成や空間設計にも関わるようになって、最近はキュラトリアルな立場で企画全体を見ることが多くなりました。出展者とのコミュニケーションや会場との関係性を考えて展示を組み立てています。展示を組み立てる際、「作品の背景や文脈」をとても大事にしています。その人がなぜそれを作ったのか、どんな環境で育ったのか……。そういう文脈を、空間に落とし込んでいく作業が好きなんです。

松永:空間の文脈と出展者の文脈を掛け合わせて、意味が生まれるように構成してる感じだよね。これは、ギャラリーなどの貸しスペースではなかなかできないことだと思います。

Untitled / Lenz
Untitled / Lenz
Untitled / Noise

Q:活動を通して感じていること、やりがいは何ですか?

神作:私は、誰かの表現に関われること自体がすごく嬉しいです。たった1日でも、その人の世界観の中に一緒にいられる。それって、とても特別なことだなと感じます。

松永:ほんとそう。誰かとつながって、新しいものが生まれる瞬間って、すごくエネルギーをもらえる。Untitledは、その“出会いの装置”であり続けたいですね。


Q:最後に、これからやっていきたいことは?

松永:もっと自由に、もっと多様に。今後は場所や形式も変えながら、いろんな人と“場”をつくっていきたいです。名前がないからこそ、どんなかたちにもなれる。それがUntitledの強みです。

神作:単純な「展示」という機会だけではなく、「対話や関係が生まれる場」を大事にしていきたいです。誰かと“つながること”の意味を、ずっと考え続けたいですね。


Untitled / Mediaでは、Untitledが主催するイベントのレポート、クリエイター達へのインタビューが掲載されています。是非こちらもご覧ください。
https://untitledjapan.org/media


Interview:Tamami Imai

Untitled/「」
2022年、芸術を学ぶ東京の大学生を中心に結成され、以後展示会企画やクリエイターコミュニティーの拡大を国内外で行う。ジャンルや経験に関わらず、個々の世界観や創作の過程に価値を見出し、発表・対話・共創の場を通じて社会との有機的な接点を生み出している。つくり手の「素地」となり、表現を形成するための場づくりを長い時間をかけて続けていきます。
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