COURTYARD HIROO
2026
4.4

Exhibition Archives/冨樫幸太郎写真展「静かに残っている。」

コートヤードHIROOでは、3月21日から4月4日までの期間中、冨樫幸太郎による写真展「静かに眠っている。」を開催いたしました。

冨樫幸太郎氏による写真展「静かに眠っている。」は、ただ風景の美しさを写した展示ではなく、見る人の記憶や感情の奥にそっと触れてくるような、静かな余韻に満ちた作品世界だと感じました。

舞台となる富山県上市町は、作家にとって「地元だけれど、今はたまに思い出す場所」として語られています。その距離感が、この展示に独特の深みを与えているように思います。ずっとその場所にいると気づけなかった景色の豊かさや、離れて初めて見えてくる故郷の静けさ、そして言葉にはしきれない懐かしさが、写真一枚一枚の中に丁寧に宿っているのではないでしょうか。

「静かに眠っている。」というタイトルからは、派手さはなくとも、土地に流れる時間や自然の呼吸、そこに積み重なってきた記憶が、深く穏やかに息づいている印象を受けます。富山の自然はただ美しいだけではなく、見る者の心を落ち着かせ、忘れていた感覚を呼び覚ます力を持っているように感じられます。

この展示の魅力は、風景を“見る”だけでなく、その場所に流れる空気や温度、沈黙までも感じさせてくれる点にあると思います。何気ない景色の中にある奥行きや、静けさの中に潜む豊かさを、改めて見つめ直すきっかけを与えてくれる写真展です。慌ただしい日常の中で少し立ち止まり、自分自身の記憶や原風景に思いを巡らせる、そんな時間をもたらしてくれる貴重な展示だと感じました。

冨樫幸太郎

富山県上市町出身。 
富山と東京を拠点に活動する写真家。 
日常の中にある静かな変化や、その場に流れる時間を見つめながら制作を続けている。 
 本展「静かに残っている。」では、2025FW(秋冬)に富山県上市町で撮影した作品を展示。 
街が冬へと移ろう途中の風景を通して、変わりきらない時間の気配を写し出す。 

kotarotogashi

HOME