COURTYARD HIROO
2025
10.5

Event Archive / Art is the medium, Society is the goal - 情緒が価値となるとき アート・建築・不動産から考える、まちと場のこれから -

コートヤードHIROOを運営する株式会社アトムは「Imagine,100 years」をビジョンに掲げ、環境に優しく、文化と調和した不動産開発を通じて、人々の心に残る空間を提供できるよう日々活動しています。


様々な知恵やアイデアが集まる魅力的で創造性のある場所として「コートヤードHIROO」を2014年に開設しました。オープンから10年が経ち、都心での実験を地方へ展開していき、地方覚醒の更なる拡大を図っています。本トークイベントは株式会社アトムが、これまでの実績や経験、コートヤードHIROOをハブに集まった多様なバックグラウンドを持った仲間たちと、ネクストステップとして何を見据えているのかを2025年10月に対話を行いました。


トークイベントの収録音源はPodcastにて配信しています。是非こちらもご視聴ください。
Podcast(Spotify)


司会: 本日は西麻布の「コートヤードHIROO」にお集まりいただきありがとうございます。ここは元官舎をリノベーションして10年、今ではアートと人が交差する場所になりました。私たちのテーマ「100年後に遺したい価値」を軸に、アーティストのGiacomoさん、建築家の堤さん、キュレーターの丹原さん、そして弊社代表の青井の4名で深く掘り下げていきたいと思います。

「驚き」が社会の境界線を溶かす

Giacomo: 私はアートを単なる装飾ではなく、社会や人々を形作るための「媒体(MEDIUM)」だと信じています。今の社会は予測可能なことに溢れていますが、アートはそこに「予測不可能な驚き」を投げ込み、人々の視点を変えることができます。

丹原: Giacomoさんの活動は、美術館の中ではなく、常に「街」という公共の場にありますよね。

Giacomo はい。例えば、イタリアのフィレンツェで行った「芝生の広場」プロジェクト。無機質なコンクリートの上に、一晩で6万キロの芝生を敷き詰めました。朝起きた市民は驚きました。昨日までただの通り道だった場所が、寝転び、対話する「公園」に変わっていたからです。行政の許可を得るのにも苦労しましたが、その「変化」が人々の行動を劇的に変えるのを目の当たりにしました。

Non a tutti piace l’erba Firenze, Italy 2008

青井: その精神は、今まさに墨田区の京島で展開している「PING PONG PLATZ」にも通じますね。

Giacomo そうです。京島では、公共空間に卓球台を置きました。最初は「なぜこんなところに?」という反応でしたが、今ではおじいちゃんと若者が、言葉を介さずとも卓球を通じて笑い合っています。アートが、世代や属性の境界線を溶かした瞬間です。

Tsuyama Ping Pong Platz 2024 Forest Festival of the Arts – Tsuyama, Japan
Kyojima Ping Pong Platz Tokyo,Japan

8kgの荷物で世界を設計する「オフグリッド」な生き方

司会: 建築家の堤さんは、また異なるアプローチで「場所」を捉えていますね。

堤: 私は「オフグリッドアーキテクト」として、既存のインフラ(電気・ガス・水道)に依存しない建築のあり方を探求しています。実は私、今日ここに来たバックパック一つだけで世界を旅してきました。荷物はわずか8kg。これだけで、どこでも生活し、どこでも設計ができます。

青井: 8kg! 現代のデジタルノマドの極致ですね。なぜそこまで身軽に、かつ「オフグリッド」にこだわるのですか?

堤: 原体験は幼少期の病気にあります。ひどい喘息でしたが、徳島の田舎へ移住し、自然の力に触れた途端に完治しました。「自然の中に身を置くこと」の根源的な価値を、建築を通じて取り戻したいんです。アイスランドの地熱エネルギーや、トルコの洞窟住居を巡り、テクノロジーと自然がどう共生できるかを肌で感じてきました。

「ライブ感」から生まれるコミュニティこそが不動産の価値

青井: 堤さんの「移動する生き方」と、Giacomoさんの「場を変えるアート」。これらは不動産の概念を根本から揺さぶります。私たちアトムが提供したいのは、単なる「箱」としての建物ではありません。

丹原: 青井さんが考える「100年後に遺る不動産」とは、具体的にどのようなものですか?

青井: それは「ライブ感」がある場所です。インターネットで何でも手に入る時代だからこそ、今日ここで私たちが顔を突き合わせて話しているような、予測不能な熱量が生まれる場所が必要です。ここで出会った仲間が、また新しい何かを作り上げる。その連鎖こそが社会を豊かにする「価値」であり、私たちが100年後に遺したいものです。

Giacomo 私も同感です。アートや建築は、あくまでそのきっかけに過ぎません。大切なのは、その場所で人々がどう動き、何を感じるか。

堤: 私もこれからは、特定の場所を設計するだけでなく、移動し続けることで生まれる「流動的なコミュニティ」を建築の視点から支えていきたいと考えています。

司会: ありがとうございます。アート、建築、そして不動産。それぞれ異なるアプローチですが、目指す先は「人々の心を動かし、記憶に刻まれる場」を作ることにあるのだと強く感じました。コートヤードHIROOでの展覧会やイベントを通して、この「ライブ感」を体験してください。

トークイベントの収録音源はPodcastにて配信しています。是非こちらもご視聴ください。
Podcast(Spotify)

HOME