Maria Cau Levy Solo Exhibition ”Circulatory Pattern”
会期:2024年9月6日~2024年9月8日
会場:コートヤードHIROO ガロウ
コートヤードHIROOではブラジルで活動するアーティスト、マリア・カウ・レヴィの特別個展「Circulatory Pattern」を開催いたしました。
「ここだから生まれる出会い」を提唱しているコートヤードHIROOでは、先月に引き続き海外からのアーティスト受け入れ、この場所ならではの滞在をしていただいています。これまでいくつものプロジェクトをご一緒しているアーティスト・岩村寛人氏の紹介により来日したマリア・カウ・レヴィの日本での短い滞在の中で行われる貴重な展覧会となりました。
Circulatory Pattern / Padrão circular (循環するパターン)
黒、赤、青で構成されるCirculatory Patternは単純には定義付けできない。幾何学的な繋がりのリズムは、時に静的で、時に動的で、時に平坦で、時に深みがあり予想ができない。また、その意味も様々な読み方ができると言える。音符のようにも、グラフィック的な詩のようにも、空間的な錯覚のようにも、あるいは3次元上の風景のようにも、もしくはこれらの全ての要素が入っているようにも思えるかもしれない。
Circulatory Patternは、カウ・レヴィが住むブラジルのサンパウロで制作された。南米最大の大都市の国際的で多文化的な生活を反映したこれらの作品は、1920年代のロシア構成主義、1950年代のブラジルのコンクリート・アート、モダニズム建築、数学、音楽など、さまざまな影響が融合したものである。この折衷的な融合は、建築家、グラフィックデザイナー、写真家、研究者、教授、画家など、カウ・レヴィがサンパウロで果たしている複数の役割によってもたらされているのである。
Circulatory Patternは、鉛筆のドローイングから始め、スケール、反復、パターンの組み合わせを描きながら探る。色、線、幾何学的な形が決まると、140x70cmの生成りのコットン・キャンバスに1〜2週間かけて描く。その後、アクリル絵の具、ペイントローラー、定規、マスキングテープ、アセテートなど、シンプルな素材と道具を使ってペインティングを行う。構想時点では精度の高いものを目指しているが、カオ・レヴィは不完全さと手作業の主観的な痕跡を受け入れ、間近で見るからこそ感じ取れる微妙な不協和音を生み出している。
Circulatory Patternの遊び心溢れる言葉は、地理、学問分野、文化の違いを超越している。人目を引くクオリティで作り出されるカウ・レヴィの作品は、リサーチ、探求、そして何よりも制作という日々の喜びから生まれている。
「アーティストは、手元にあるもので何でも創作することができる。」カウ・レヴィに作れないものはない。
クリオ・ミゲル
ブラジル人建築家、写真家、スイス連邦工科大学チューリッヒ校建築史・理論研究所博士研究員
Artist Profile
マリア・カウ・レヴィはサンパウロを拠点に活動するグラフィック・アーティスト兼デザイナー。サンパウロ大学建築都市学部(FAU-USP)で修士号を取得し、エスコーラ・ダ・シダーデ建築都市学部でドローイングを教える。マリア・カウの活動は理論と実践が交差するポイントで行われ、プロジェクトはヴェネツィア、サンパウロ、マドリッド、カラカスなどのビエンナーレで紹介されている。ブラジル住宅デザイン博物館賞(2020年、2021年)、ブラジルデザイン賞(2021年)の審査員を務める。Jabuti賞(2020年-グラフィックデザイン)、ラテンアメリカデザイン賞(2022年、2023年-エディトリアル)、ブラジルデザイン賞(2020年、2021年-エディトリアル)、Music ProfessionalsAward(2019年、2021年-デザイナー)で銀賞を受賞。2023年、初の著書「Object-Training: lessonsfrom Vkhutemas」(キノラス出版)を出版。現在、サンパウロGalpão Comumのインディペンデント・リサーチ・スペースのオーガナイザー。
https://m-cau.com/