12月2日(金)に行われる今年最後のFirst Fridayは、「FREYJA’S CHRISMAS」と題しまして、コートヤードHIROOでこどもに英語とアートを教えているアーティスト、フレイヤ・ディーンによる、母国イギリスのクリスマスを再現したパーティを開催いたします。
また、その他にも、期間限定でSPAを展開しているSABONによるホリデーギフトショップや今回のイベントを彩る折り畳めるLEDランタンの展示販売、さらには子供服、ヘアアクセサリー、モバイルウォレットなどの合同POP UP SHOPと、盛りだくさんの内容となっております。

「First Friday」に先んじフレイヤより、自身が子供の頃に経験したクリスマスの思い出を振り返る、ロマンチックな文章が届きました。
少し長いですが、ぜひお時間ありますときに読んでいただければと思います。

image2


「クリスマスは形式的な行事ではなく、人々の心の中に存在する」
–フレヤ・スターク(イギリスの探検家)
私の幼い頃のキラキラとした思い出のいくつかは、クリスマスの準備やお祝いに関するものです。現実や神話や魔法の境界線がぼやけるその季節を、いつも心待ちにしていました。

クリスマスの起源がいかに古く、その伝統が不思議か、理解している子どもはあまりいないでしょう。キリスト教以前に、ヨーロッパの非キリスト教徒たちは、光や緑を家の中に取り入れることで、冬至を祝う習慣がありました。現代のクリスマスに欠かせないキャンドルやたき火、緑、そしてご馳走は、2000年以上昔、キリスト教が存在する前から同じようにありました。

クリスマスの準備は早くから始まります。我が家では、まず家の中に緑を飾るのですが、イギリス古来の伝統に従ってヤドリ木を用意します。ヤドリ木は家に幸運をもたらし、魔除けになると言われているからです。また、ヤドリ木は愛や友情、そしてロマンスを象徴することから、イギリスではクリスマスにヤドリ木の枝の下でキスをする習慣がありました。私の父は今でも信心深く、楽しそうにそれを柊や常緑樹の枝と一緒に毎年飾りつけています。1年を通して緑の葉をつける木を飾ることで、翌年の豊作や緑を願うのです。

クリスマスの飾りには、ポマンダーというものもあります。(訳注:香り玉)オレンジに香辛料をまぶして木々に飾り、部屋を香り付けするために使うものです。その起源はイギリスで新鮮な良い香りが健康をもたらすと信じられていた頃に遡り、ポマンダーは一家の健康を願うために飾られています。毎年学校でも手作りし、当時は教室に良い香りが何日も漂っていたものです。

そして、クリスマスの伝統といえばやっぱりクリスマスツリーでしょう。イギリスにとっては比較的新しく、19世紀にドイツからきた慣わしです。緑と光を同時に家の中に取り入れることができる素晴らしい方法で、かつてツリーを飾っていたのはキャンドルの火でしたが、現代ではキラキラと光を反射するガラス製のデコレーションが施されます。ツリーのてっぺんには星か天使を飾るのが定番です。星は、キリストが生まれた時に輝いたベツレヘムの星を、天使はキリストが生まれる前、神の子を出産することをマリアに知らせた天使ガブリエルを表しています。我が家にあったのは天使の方で、私の記憶にある限り、ずっと同じものを飾っていました。

image5

クリスマス当日の最初の楽しみは、ファザー・クリスマス(訳注:イギリスではサンタクロースをこう呼ぶことがある)からのプレゼントを開けるときで、私にとっては午前4時から6時頃でした。ファザー・クリスマス、あるいはサンタクロースはトルコが起源とされていて、セント・ニコラス(サンタクロースのこと)やプレゼントを靴下に入れる習慣のきっかけとなった物語が、私の一番のお気に入りです。キリスト教徒の一家で生まれ育ったセント・ニコラスは、恵まれない人たちに親切にするという教えに忠実でした。あるとき、3人の娘がいる貧しい一家がいると聞いたセント・ニコラスは、その家に金貨が入った袋を窓の外から投げ入れました。すると、袋は娘たちが暖炉のそばで乾かしていた靴下の中に入りました。これがきっかけで、セント・ニコラス、つまりはサンタクロースがプレゼントをくれることを願い、暖炉のそばに靴下を吊るす習慣が生まれたのです。

プレゼントを開けたあとは、親族が次々と集まり、台所でご馳走を作り始めます。お料理をしながらたくさんの会話が飛び交い、アルコールを飲み始めるのもこの時です。真冬の北欧では新鮮な食材が限られているので、食事の内容はもう何百年もの間ほとんど変わっていません。クリスマスの食卓の定番はピクルスやジャム、お肉、ペストリー(訳注:パイや菓子パン)、プディング、ドライフルーツ、そしてナッツなどです。

クリスマス・プディングは大事な慣例のひとつです。アルコールがたっぷり入ったクリスマス・プディングに火を灯し、明かりを消したダイニングルームに運び込むと、青い炎の光が部屋の中を照らします。そして火が消えたら、クリームと一緒に食べるのです。プディングの中には銀貨が入っていて、その銀貨を当てた人は、1年間幸運に恵まれると言われています。

全員が食べ終えたあとは、リビングルームに移動してゲームをしたり、プレゼント交換をしたり、さらに飲み続けたりします。クリスマスの伝統的な遊びであるジェスチャーゲームをするときは、たくさん大声を出したり動いたりするので、みんなが疲れてくるとそこでお開きです。クリスマスは実に様々な人にとって大切な側面があり、その理由も人それぞれです。しかし、年に一度家族や友人が集まることの重要性は、きっとたくさんの人たちに共通するものでしょう。世界中で何が起きていても、どのような人生を送っていても、キリスト教徒であってもそうでなくても、クリスマスは食べて、飲んで、楽しめる、聖なる時間なのです。

image6

Text by Freyja Dean
Translation by Hanako Saeki